国際刑事裁判所(International Criminal Court: 以下「ICC」という)は、1998年に採択された国際刑事裁判所に関するローマ規程(以下、「ICC規程」という)に基づいて、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪及び侵略犯罪という「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪を行った者が処罰を免れることを終わらせ、もってその様な犯罪を防止すること」(ICC規程前文)を目的として設立された、それらの犯罪に責任のある個人の訴追・処罰を任務とする普遍的かつ恒久的な国際刑事法廷である。

 ICC規程は2002年7月1日に発効し、2025年現在、その締約国・地域は125に及ぶ。

 日本は、ICC規程の起草時より、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のためICCの設立を一貫して支持し、2007年10月1日にICCに加盟して以降、裁判官を継続的に輩出し、2018年3月からは赤根智子氏が裁判官を務め、2024年3月には日本人として初のICC所長に選出されている。

 また、外務省によれば、日本はICCの最大の分担金負担国であり、2024年については約36.9億円(分担率約15.4%)の分担金を負担し、被害者支援のための信託基金に対しても、2014年以降、累計108万ユーロ以上を負担している。

 この様に、日本は法の支配を重視する国際社会の一員として、これまで人材面・財政面でICCの活動を大きく支えてきた。

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年3月、日本はICCの検察官に対し、戦争犯罪等の捜査を開始するよう求めて、ウクライナの事態を付託し、日本の他にも42か国が同様の付託を行っている。

 2023年3月17日、ICCはウクライナの事態に関連して、プーチン大統領らに戦争犯罪の疑いで逮捕状を発付したところ、ロシアはそれに反発し、報道によれば、赤根判事を含む逮捕状の発付の審理を担当した3名のICC裁判官を指名手配としたほか、ICCの主任検察官らを本人不在のままロシア国内で起訴している。

 これらに対して、赤根判事は「ICCの裁判官一同、これらに屈してはならないという気持ちで毎日の裁判業務に向かっている」と述べるとともに、「証拠に基づき法律的な手続きで責任を追及していくことが、戦争犯罪の抑止につながる」と訴えている。

 また、2024年11月21日、ICCはガザにおけるイスラエルとハマスとの間の紛争に関連して、イスラエルのネタニヤフ首相らに戦争犯罪などの疑いで逮捕状を発付したこところ、アメリカがそれに反発し、トランプ大統領は、2025年2月6日、ICCの職員などに対するアメリカへの入国禁止処分や資産凍結等の制裁を科す大統領令に署名している。

 これに対しても、赤根判事は、2025年2月7日、「ICCの独立性と公平性を損なうもので、深い遺憾の意を表明する」との声明を発表し、「残虐行為による何百万人もの罪のない被害者から正義と希望を奪う」と指摘した上で、「ICC加盟国や法の支配に基づく国際秩序に対する深刻な攻撃」であると非難している。

 同日、イギリス・ドイツ・フランスなどICCに加盟する79の国・地域もアメリカの大統領令に対して「法の支配を脅かす」と非難する共同声明を発出し、「ICCの独立性、公平性、および誠実性に対する揺るぎない継続的な支援を再確認する」と述べた上で、「制裁は、ICCが現地事務所を閉鎖せざるを得なくなる可能性があるため、現在捜査中のすべての事案に深刻な打撃を与える」と指摘し、「最も深刻な犯罪が免責されるリスクを高め、国際的な法の支配をむしばむ恐れがある」と訴えている。

 しかしながら、日本はこの共同声明に加わらず、ほかにICCを支持する、ないしは支援するような声明さえも発出していない。

 ICCは、上述のとおり世界中の多数の国・地域が加盟するICC規程に基づく国際法上の正統性を有する裁判所であるとともに、個人に対し独立・中立で普遍的な司法権の直接的行使という刑事法上の正統性を有する裁判所である。

 ロシアやアメリカはICC規程の非締約国であるが、ロシアやアメリカによる上述のような措置は、ICCに対する不当な圧力であり、ICCの独立・公正な活動を阻害し、国際社会における「法の支配」を脅かしかねないものであって、その様な措置が執られる状況が続けば、国際社会が「力による支配」の時代に逆戻りすることにもつながりかねない。

 上述のとおり、日本は、法の支配を重視する国際社会の一員であると標榜しており、また、ICCに対して多大な人的・財政的貢献を行い、その実効性を高めるよう尽力してきたにもかかわらず、日本政府が、ICCに対する不当な圧力に対して、反対の意思を表明せず、また、それらを撤回させるように外交努力をしないことは、到底看過できるものではない。

 そのため、当連合会は、ロシアやアメリカなどによるICC及びその裁判官、検察官、職員らに対する不当な圧力に強く反対するとともに、日本政府に対し、①ICCの独立・公正な活動を阻害するあらゆる行為に反対する意思を宣明し、②既になされている行為を撤回させ、将来もそのような行為がとられることがないよう外交努力を行い、③今後もICCに対して人的・財政的支援を継続し、その活動を支持していくことを求める。


2025年(令和7年)6月5日

東北弁護士会連合会 

会長 吉 田 瑞 彦


1 政府は、2025年3月7日、現行の日本学術会議法(以下、「現行法」という)を廃止し、日本学術会議の組織形態を、現在の国の「特別の機関」から、国から独立した法人格を有する組織としての特殊法人へと変更する日本学術会議法案(以下、「本法案」という。)を閣議決定し、衆議院に提出した。本法案は、同年5月13日に衆議院で可決され、今後参議院での審議が始まる。

  しかし、本法案は、以下に述べるとおり、学問の自由(憲法23条)に由来する日本学術会議の独立性と自律性を脅かすおそれがあり、極めて問題である。

2 そもそも、日本国憲法が思想良心の自由(憲法19条)や表現の自由(憲法21条)とは別に憲法23条で学問の自由を保障したのは、戦前の滝川事件(1933年)や天皇機関説事件(1935年)といった学問の自由が国家権力によって侵害された歴史への深い反省を踏まえ、また、学問の研究が、常に従来の考え方を批判して、新しいものを生み出そうとする努力であることから、学問の分野は特に程度の高い自由が要求されることによるものとされている。このため、学問の自由は、国家権力から干渉されることなく学問研究・発表等を行うことを保障している。日本学術会議は「我が国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること」を目的とするナショナル・アカデミーであり(現行法2条)、その独立性と自律性は憲法23条に由来する。

3 ところが、本法案の内容は、以下に述べるとおり、日本学術会議の独立性と自律性に対する重大な脅威ともなりかねないものであり、極めて問題である。

(1)まず、基本理念について、現行法では、「科学が文化国家の基礎」「我が国の平和的復興への貢献」といった、歴史的な背景をも踏まえた、科学者としての決意が表現されていたが、本法案では、「人類共有の知的資源」「経済社会の健全な発展の基盤」という文言に変更されている。

(2)また、本法案では、学術会議が職務を「独立して」行うとされた現行法3条の文言が踏襲されておらず、法人の外部から、会員の選定や業務運営等を幾重にもチェックする制度を導入することが定められている。例えば、①会員以外の者から総会が選任する科学者を委員とし、会員の選定方針等について意見を述べる選定助言委員会(本法案26条、31条)、②会員以外の者から会長が任命する者を委員とし、中期的な活動計画や年度計画の作成、予算の作成などについて意見を述べる運営助言委員会(本法案27条、36条)、③内閣府に設置され、内閣総理大臣が委員を任命し、中期的な活動計画の策定や業務の実績等に関する点検・評価の方法・結果について意見を述べる日本学術会議評価委員会(本法案42条3項、51条)、④会員以外の者から内閣総理大臣が任命し、業務を監査して監査報告を作成し、業務・財産の状況の調査等を行う監事(本法案19条、23条)である。このような各機関の設置は、会員選考における独立性と自律性、及び活動面での政府からの独立性を損なうものであり、学問の自由に対する重大な脅威となりかねないものである。

(3)特に、新法人の会員の選任方法をみると、諸外国の多くのナショナルアカデミーが採用している標準的な会員選考方式であるコ・オプテーション方式(現在の会員が次期会員に相応しい科学者を推薦する方式)による選考方式が損なわれることにより、現在の日本学術会議との連続性が途絶えることとなり、時の政治権力から独立した立場で、普遍的俯瞰的観点から科学的助言を行うという現在の日本学術会議の基本的なあり方が継承されなくなることが危惧される。

すなわち、会員候補者の選考には、「会員、大学、研究機関、学会、経済団体その他の民間の団体等の多様な関係者から推薦を求めることその他の幅広い候補者を得るために必要な措置を講じなければならない」こととされ、さらに「行政、産業界等との連携による活動」等の活動実績を有する科学者が含まれるよう配慮することが求められるなど(新法案30条)、様々な制約が設けられている。加えて、新法人が発足する際の会員について、本法案では、現在の日本学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が会員予定者125人を指名すると定められているが(附則3条1項)、その会員候補者を選考する候補者選考委員会の委員を現在の日本学術会議委員の中から選ぶ旨の規定は存在せず、また、候補者選考委員会の委員を会長が任命しようとするときは、内閣総理大臣が指名する有識者と協議しなければならないとされている(附則6条5項)。これでは、新会員の選考は、現行会員の推薦に基づくものではなくなるおそれがある。

また、新法人の発足時点で任期を残している現会員は、新法人の会員となるとされるものの、3年後に再任されることができないものとされていることから(附則11条)、上記のような会員の選任方法が実施されることにより、新法人は現在の日本学術会議との連続性が途絶えることとなりかねない。

   以上のような選考方法で選考された会員によって構成される新法人が、時の政治権力から独立した立場で、普遍的俯瞰的観点から科学的助言を行うという、これまで日本学術会議が果たしてきた役割を果たすことができるのかについては、大きな懸念がある。

(4)さらに、新法人の財政基盤については、「政府が、予算の範囲内において、会議に対し、その業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができる。」とされるにとどまっており(本法案48条1項)、ナショナル・アカデミーとしての安定した国家財政支出が確保されなくなることが危惧されるうえ、中期的な活動計画策定義務(本法案42条)の新設と相俟って、国、政府の側の期待に応える活動計画でなければ十分な補助が得られなくなるおそれも否定できず、活動面での政府からの独立性が損なわれることが強く危惧される。

(5)本法案には、以上のような問題点があり、十分に時間を掛けて慎重に審議しなければならないにもかかわらず、衆議院内閣委員会はわずか3日間の審議で採決しており、政府に対し日本学術会議の独立性、自主性及び自律性を尊重することなどを求める附帯決議がなされたものの、政府を含む外部の介入を許容する条文内容に修正は一切なく、本法案の問題を解消するものではない。

4 政府による日本学術会議の組織再編は、2020年10月の内閣総理大臣による6名の任命拒否に遡る。その後、日本学術会議の組織再編の議論が開始され、繰り返されてきた結果、本法案の提出に至っている。

  当連合会は、2020年10月30日、「日本学術会議会員の任命拒否に対する会長声明」を発出し、内閣総理大臣による任命拒否は思想統制的なメッセージとなる懸念があり、政権に批判的な研究活動や意見表明を萎縮させ、ひいては憲法23条が保障する学問の自由を侵害することにつながりかねないことを指摘し、6名の任命拒否について合理的な説明ができないのであれば任命拒否を撤回することを求めてきた。しかし、現在においても、政府は任命拒否の理由を示しておらず、任命拒否の撤回もされておらず、その問題を放置したまま日本学術会議の法人化を進めることも看過できない。

5 また、日本学術会議からも、2025年4月15日、日本学術会議第194回総会において、声明(「次世代につなぐ日本学術会議の継続と発展に向けて~政府による日本学術会議法案の国会提出にあたって」)が出されるとともに、国会に対して日本学術会議法案の修正を求める旨の決議がされているところである。

6 よって、当連合会は、日本学術会議の独立性と自律性を損なうおそれが高い本法案に反対し、参議院で問題点が改善されない限り廃案にすることを求める。

 

2025年(令和7年)5月17

東北弁護士会連合会 

 長  吉 田 瑞 彦


 当連合会は、2016年(平成28年)2月9日の会長声明において、民法第750条は、憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳及び婚姻の自由、同第14条及び同第24条が保障する平等権並びに女性差別撤廃条約第16条第1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」を侵害するものであるとして、早期の改正を求めていた。上記声明発出後の国民の意識の変化や社会の変化等も踏まえて、改めて国に対し、民法第750条を早期に改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを強く求める。

憲法第24条第1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有する」と定め、同条2項は「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」として、婚姻における人格的自律権の尊重と両性の平等を定めている。これは、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものである(最高裁大法廷2015年12月16日判決)。そうであれば、夫婦双方が、婚姻後も、婚姻前の姓を維持できるとすることが、個人の尊重、夫婦間の本質的平等にかなう。

もっとも、民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定めて夫婦同姓を義務付けており、現行制度上、夫婦双方が姓を維持する選択肢は認められていない。そのため、姓の変更を望まない者同士の場合は、婚姻をしないか一方が自己のアイデンティティ喪失を伴う改姓をするかの選択を余儀なくされる。そして現在、婚姻する夫婦の大部分が夫の姓を選択しており、多くの女性が職業上も社会生活上も様々な不利益を被っている。

 氏名について、最高裁判所は「人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成する」(最高裁第三小法廷1988年2月16日判決)と判示しているが、姓の変更を強制されない自由もまた、人格権の重要な一内容として憲法第13条によって保障されている。民法第750条は、婚姻に際し姓の変更を強制されない自由を不当に制限するものであり、憲法第13条に反する。

 また改姓するか否かは個人の信条に関わる問題であるが、民法第750条は、夫婦別姓を希望する人は、信条に反して改姓しない限り婚姻できないとするものであり、婚姻に際し同姓を希望する者と別姓を希望する者とを差別的に取り扱っている。このような差別的取扱いは合理的根拠に基づくものとは言えず、民法第750条は、法の下の平等を定めた憲法第14条にも反する。

 さらに、憲法第24条第1項が婚姻における人格的自律権の尊重と両性の平等を定めている趣旨にかんがみれば、民法第750条は、婚姻成立のために「姓の変更」という両性の合意以外の要件を不当に加重しており、当事者の自律的な意思決定に不合理な制約を課すものである。そして、家父長的な家族観・婚姻観や男女の固定的な性別役割分担意識等がいまだに無言の圧力として働き、新たに婚姻する夫婦のうち約95%で女性が改姓している実態がある。民法第750条は、事実上、多くの女性に改姓を強制し、その姓の選択の機会を奪うものであり、憲法第24条にも反する。

 1996年、法制審議会は選択的夫婦別姓制度を導入する「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申したが、実現されないまま既に28年が経過しているが、国会での議論が進んでいない。

最高裁判所は、2015年12月16日の判決及び2021年6月23日の決定で民法第750条を合憲としたが、これらの判断は、同制度の導入を否定したものではなく、法制度の合理性に関わる国民の意識の変化や社会の変化等の状況は、本来国会において不断に目を配り、対応すべき事柄であると指摘するとともに、選択的夫婦別姓制度の導入に関する最近の議論の高まりについても、国会において受け止めるべきであり、夫婦の姓に関する制度の在り方は「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならない」として、国会での議論を促したものである。

そして近時の世論や情勢においては、官民の各種調査において選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する意見が高い割合を占め、全国の多数の地方議会、東北地方においても岩手県議会、青森市議会など複数の地方議会で同制度の導入を求める意見書が採択されている。また本年、日本経済団体連合会は、女性活躍の壁を乗り越えるために必要であるとして、選択的夫婦別姓制度を早期に実現することを求める提言を行っている。

2024年10月29日、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓が強制されている民法の規定を改正し、夫婦が婚姻後も別姓を選択できる制度を導入することを求める勧告を行った。このような、国連女性差別撤廃委員会による夫婦同姓制度を定めた民法の規定の改正を求める旨の勧告は、2003年、2009年、2016年に続いて実に4度目である。世界各国の婚姻制度を見ても、夫婦同姓を法律で義務付けている国は、日本のほかには見当たらない。民法第750条が、国際的にみて、女性差別撤廃条約第16条第1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」を侵害するものであることは明らかである。

なお、社会的には旧姓の通称使用が拡大しているものの、通称使用を認めただけでは上記に挙げた憲法違反の点は根本的に解消されない。さらに、通称名と戸籍名の使い分けが必要となって混乱を招くことも多く、金融機関等との取引や公的機関・企業とのやり取り等に困難を抱えており、抜本的な解決策とはなっていない。

今、選択的夫婦別姓の導入を求める世論はかつてないほどに高まっており、選択的夫婦別姓制度の導入に向けて、既に機は熟しているというべきである。2024年10月29日に国連女性差別撤廃委員会から4度目の勧告がなされたにもかかわらず、国が、姓の変更を強制されない自由、婚姻の自由に反し、法の下の平等に反する重大な人権侵害を、これ以上放置することは許されない。

したがって当連合会は、国に対し、民法第750条を直ちに改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを改めて強く求める。

2024年(令和6年)12月14日

東 北 弁 護 士 会 連 合 会

会 長 竹 本 真 紀

  2023(令和5)年7月14日からの大雨により、秋田県内各地で住家への浸水等の被害が発生した。2024(令和6)年8月2日現在の住家被害は全壊11棟、半壊2921棟、一部損壊29棟、床上浸水719棟、床下浸水3695棟に上っている(同日、秋田県総務部総合防災課発表)。かかる被害を踏まえ、秋田県は、秋田市、能代市及び五城目町に対し、いわゆる被災者生活再建支援法を適用した。

 この被災者生活再建支援法の適用により、被災者は住家被害認定に応じ生活再建支援金を受給することができるところ、同一住家に複数世帯が存在する場合については、従前、内閣府及び同支援金を支給する公益財団法人都道府県センター(以下「都道府県センター」という。)の運用では、原則として、世帯ごとに同支援金を受給できるとしてきた。

 ところが、当初、秋田県は、同一住家に複数世帯が存在する場合に、生計が別世帯であることが証明されない限り、生活再建支援金の支給は1世帯分に限るとの従前と異なる運用を行った。その後、内閣府及び都道府県センターから指摘を受けた秋田県は、2024(令和6)年2月に至り、生計が別世帯であることの証明を待つまでもなく、世帯ごとの生活再建支援金の申請を認める運用に是正し、改めて、未申請の世帯に対し、申請を促す対応を開始した。

 ただし、かかる対応において、都道府県センターの指導のもと、未申請世帯が申請をして生活再建支援金を受給できる条件として、すでに申請をした世帯において過払いとなってしまった部分を返還することとし、かかる返還がなされない限りは、未申請世帯への支給は認めない、という対応をする事態となっている。

 そのため、被災者の中には、すでに生活再建支援金を受給し、生活再建等に費消してしまったため、今更過払い部分の返還をすることが困難となり、未申請世帯が同支援金を受給できない、という事例が生じている。

 秋田県においても、かかる事態に対応すべく、未申請世帯がいったん生活再建支援金の申請をし、受給後に、その金員から受給済み世帯の過払い部分を返還するような柔軟な運用を模索したものの、内閣府や都道府県センターの見解では、あくまで受給済み世帯からの過払い部分の返還が先決であるとして、上記柔軟な運用はとることが困難な状況に陥っている。

 しかしながら、上記の経緯や、被災者の生活再建を目的とする生活再建支援金の趣旨からすれば、内閣府や都道府県センターの見解に基づく前記硬直的な運用は是正されなければならない。

 すなわち、2024(令和6)年2月に至って秋田県が運用を是正した経緯において、被災者には何ら落ち度はない。同一住家の複数世帯においては、原則として世帯ごとの生活再建支援金の申請・受給ができるのであるから、未申請世帯による申請・受給に際し、受給済み世帯の過払い部分の返還が紐付けられることは不当というほかない。当初から適正な運用がなされていれば、本来は負わなくて良かったはずの負担を被災者に強い、その結果、現在の災害法制における数少ない公的支援制度の利用を事実上断念させることは、「生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的」(被災者生活再建支援法第1条)とする被災者生活再建支援法の趣旨に適った運用とは言い難い。

 また、都道府県から生活再建支援金の支給業務の委託を受けている都道府県センターは、被災者生活再建支援法第11条1項に定める業務規程に基づき、速やかに、被災者に生活再建支援金を支給する職責を負う。都道府県センターが、都道府県から柔軟な対応の要請がされた際には、これに対応することも求められているというべきである。仮に、被災者に既払金の一部を返金させなければ、当初申請していなかった世帯による支援金の申請ができない業務規程上の障壁が存するのであれば、かかる障壁は不合理というほかなく、内閣総理大臣はかかる障壁を是正する職責がある(被災者生活再建支援法第16条)。

 以上から、当連合会は、秋田県、都道府県センター及び内閣総理大臣に対し、受給済み世帯への生活再建支援金の過払い部分の返還を条件とすることなく、未申請世帯による生活再建支援金の申請を受け付け支給するよう、適切な運用を求める。


2024(令和6)年9月30日                                               

東 北 弁 護 士 会 連 合 会                 

会 長 竹 本 真 紀


 2024(令和6)年9月26日、静岡地方裁判所は、いわゆる「袴田事件」について、袴田巖氏(以下、「袴田氏」という。)に対し、再審無罪判決を言い渡した。

 本件は、1966年(昭和41)年6月30日未明、静岡県清水市(現:静岡市清水区)のみそ製造販売会社専務宅で一家4名が殺害され、放火されたという住居侵入、強盗殺人、放火事件であり、袴田氏が同事件の被疑者として逮捕・起訴され、1980(昭和55)年12月12日に袴田氏に対する死刑判決が確定した。しかし、袴田氏は当初より一貫して無実を訴えており、二度にわたる再審請求を経て再審公判が開かれ、本年9月26日、再審無罪判決が言い渡されたものである。

 この判決は、袴田氏の名誉を回復するものとして評価できる。

 袴田氏は、2014(平成26)年3月27日静岡地方裁判所が再審開始とともに死刑及び拘置の執行停止を決定したことにより釈放されたものの、1980(昭和55)年11月19日に上告審で上告が棄却されて以来、40年以上にわたり死刑囚として生きることを強いられてきた。そのため、袴田氏には現在も拘禁反応の症状が見られるなど、今なお心身に不調を来している。

 袴田氏は、まさに人生の大半を自己のえん罪を晴らすための闘いに費やさざるを得なかったのであり、その苦痛は計り知れない。

 そこで、当連合会は、検察官に対し、過日の無罪判決を尊重し、上訴権を放棄して直ちに無罪判決を確定させるよう強く求める。

 また、「袴田事件」は、死刑事件であってもえん罪が起こり得る可能性があることを如実に示している。

 日本では、死刑判決が確定した後、再審によって無罪判決が出された事件が過去に4件あり(免田事件、財田川事件、松山事件(宮城県で発生)、島田事件)、「袴田事件」の無罪判決が確定すれば5件目となる。死刑は、人の生命を奪う不可逆的な刑罰であって、死刑判決がえん罪であった場合、これが執行されてしまうと取り返しがつかない。「袴田事件」は、その危険性に警鐘を鳴らすものである。

 「袴田事件」により、現行刑事訴訟法における再審に関する定め(再審法)の不備が改めて明らかになった。再審手続が長期化し、えん罪被害者の救済が遅々として進まないことの原因は、各事件固有の事情にあるものではなく、現在の再審制度が抱える制度的・構造的問題にあるというべきである。

 すなわち、第一に、証拠開示制度が不備であることである。「袴田事件」では再審段階で約600点もの証拠が新たに検察側から開示され、それらが再審開始及び再審無罪の判断に大きく影響を与えているが、これらの証拠が開示されたのは、最初の再審請求から約30年もの時間が経ってからのことである。これほどまでに時間を要した原因は、現行法に証拠開示のルール(再審における証拠開示の制度)が設けられていないことにある。再審請求手続において十分な証拠開示制度を整備することが急務である。

 第二に、検察官による不服申立が許容されていることである。「袴田事件」では2014(平成26)年3月27日に再審開始決定がなされたが、再審公判が開かれるまでにはさらに10年以上もの期間を要した。その原因は、再審開始決定に対する検察官の不服申立てが認められていることにある。しかも、「5点の衣類」の問題をはじめとする数多くの論点については、極めて長期間に及んだ再審請求審において主張・立証が尽くされ、既に数次にわたる裁判所の判断も経ている。にもかかわらず、検察官は、再審公判においても、同様の論点を蒸し返した上で改めて有罪立証を行い、死刑を求刑しており、このことも手続が長期化した原因となっている。職権主義的審理構造のもとで、利益再審のみを認め、再審制度の目的をえん罪被害者の救済に純化した現行の再審請求手続においては、検察官は有罪立証をする当事者ではなく、「公益の代表者」として裁判所の審理に協力する立場に過ぎないのであるから、検察官に不服申立権を認める必要はない。

 第三に、現行刑事訴訟法に再審請求審の手続規定、とりわけ手続の進行に関する明文の規定がないことである。「袴田事件」では、再審公判が開かれるまでに二度にわたる再審請求を経ているが、第1次再審請求は約27年間もの長期に及び、第2次再審請求も約15年もの期間を要している。その原因は、現在の再審法に再審請求審の手続をどのように進めるかという再審請求手続における手続規定が定められていないことにある。手続規定の整備は必須である。

 このような問題は他の再審事件でも同様に見られるのであって、まさに制度的・構造的な問題である。「袴田事件」のような悲劇を今後二度と繰り返さないためにも、再審法は速やかに改正されなければならない。

 この点、当連合会は、2024(令和6)年7月5日開催の定期弁護士大会において、「再審法の速やかな改正を求める決議」を採択しているところであるが、今回の「袴田事件」再審無罪判決を機に、改めて、国に対し、①再審請求手続における証拠開示の制度化、②再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、③再審請求手続規定の整備を含む、再審手続に関する刑事訴訟法の各規定の適切かつ速やかな改正を求めるものである。


                                         2024(令和6)年9月30日                                               東 北 弁 護 士 会 連 合 会                   

会 長 竹 本 真 紀



  刑事事件の再審制度は、人権擁護のために、誤判により有罪とされたえん罪被害者を救済することを目的とする制度である。裁判は人が行うものである以上、誤りは生じうる。だからこそ、最高裁は、白鳥決定(最高裁1975(昭和50)年5月20日決定)及び財田川決定(最高裁1976(昭和51)年10月12日決定)において、再審請求でも「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されるとして、えん罪被害者の救済に向け積極的な姿勢を示したのである。

 白鳥決定あるいは財田川決定以降、ここ東北地方においても、宮城県では松山事件について、誤判により一旦は死刑判決が確定したところ、再審により無罪判決がなされたこと、また青森県でも弘前事件、米谷事件について再審により無罪判決がなされたことが銘記されるべきである。

 えん罪被害は、国家による最大の人権侵害の一つであり、えん罪被害者は迅速かつ確実に救済されなければならない。しかし現実には、再審は「開かずの門」と言われるほど、認められることがまれであり、現在の再審制度は、誤判からの救済手段としての意義・役割をほとんど果たせていないと言わざるを得ない。

 本年(2024(令和6)年)5月に再審公判が結審し、同年9月に判決が言い渡される予定の袴田事件、また2023(令和5)年2月に即時抗告審で再審開始が維持されたものの、検察官の特別抗告により再審開始がなお争われている日野町事件の再審請求審においても、現行刑事訴訟法における再審に関する定め(再審法)の不備が改めて明らかになった。両事件を含む多くの事件では再審手続が長期化し、えん罪被害者の救済が遅々として進まないことの原因は、各事件固有の事情にあるものではなく、現在の再審制度が抱える制度的・構造的問題にあるというべきである。


 すなわち、第一に、証拠開示制度が不備であることである。再審開始決定を得た事件の多くにおいては、再審請求手続の中で初めて開示された検察官の手持ち証拠の中に、再審開始を導く重要な証拠が含まれていた。このような事態は、そもそも有罪判決を言い渡した裁判が、果たして武器の対等という刑事裁判の基本的な原則が守られた公平かつ公正な裁判であったのかに強い疑問を抱かせるものである。その上、現行刑事訴訟法では、再審における証拠開示制度が整備されておらず、裁判所の裁量に委ねられているため、再審開始を導く重要な証拠が再審請求人に開示される保障がない。再審請求手続において十分な証拠開示制度を整備することが急務である。


 第二に、検察官による不服申立が許容されていることである。近年、再審開始決定に対する検察官による即時抗告、特別抗告ないし異議申立が行われることが多く、その結果、袴田事件がまさにそうであったように、再審開始が遅延し、えん罪被害者の速やかな救済が阻害される事態が続いている。職権主義的審理構造のもとで、利益再審のみを認め、再審制度の目的をえん罪被害者の救済に純化した現行の再審請求手続においては、検察官は有罪立証をする当事者ではなく、「公益の代表者」として裁判所の審理に協力する立場に過ぎないのであるから、検察官に不服申立権を認める必要はない。


 第三に、現行刑事訴訟法に再審請求審の手続規定、とりわけ手続の進行に関する明文の規定がないことである。そのため、審理の進行が各裁判所の裁量に委ねられ、ときに「再審格差」と呼ばれるような訴訟指揮における格差が問題とされてきた。加えて、再審手続において国選弁護制度はなく、適切な弁護を受ける権利の保障という観点からも手続規定の整備は不十分である。

 

 よって、当連合会は、国に対し、えん罪被害者の迅速な救済を実現するため、以下の内容を含む再審手続に関する刑事訴訟法の各規定の適切かつ速やかな改正を求める。

1 再審請求手続における証拠開示の制度化

2 再審開始決定に対する検察官による不服申立の禁止

3 適正手続を保障する再審請求手続規定の整備


2024(令和6)年7月5日

東 北 弁 護 士 会 連 合 会





                 提 案 理 由




第1 はじめに

 えん罪は国家による最大の人権侵害の一つである。

 2023(令和5)年3月13日、東京高等裁判所第2刑事部は、袴田事件(1980(昭和55)年11月に強盗殺人罪・放火罪で死刑確定)の第2次再審請求について、2014(平成26)年3月27日に静岡地方裁判所がなした再審開始の決定を維持し、検察官の即時抗告を棄却する決定をした。検察官はこの決定に対する特別抗告を断念し、再審公判が開始され、本年9月に判決が言い渡される予定である。袴田巌氏は、逮捕から約58年、死刑確定から約44年という時を経て、ようやく国家による人権侵害から救済されようとしている。


第2 再審をめぐる歴史

1 白鳥・財田川決定

 再審において大きな意義を有するのは白鳥決定(最高裁1975(昭和50)年5月20日決定)及び財田川決定(最高裁1976(昭和51)年10月12日決定)である。

 白鳥決定は、「法435条6号にいう『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだかせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうものと解すべきであるが、右の明らかな証拠であるかどうかは、もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば、はたしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から、当の証拠を他の全証拠と総合的に評価して判断すべきであり、この判断に際しても、再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りるという意味において、『疑わしいときは被告人の利益に』という刑事裁判における鉄則が適用されるものと解すべきである。」と判示した。

 また、財田川決定は、白鳥決定の上記判示を繰り返した上で、さらに「そして、この原則を具体的に適用するにあたっては、確定判決が認定した犯罪事実の不存在が確実であるとの心証を得ることを必要とするものではなく、確定判決における事実認定の正当性についての疑いが合理的な理由に基づくものであることを必要とし、かつ、これをもつて足りると解すべきであるから、犯罪の証明が十分でないことが明らかになった場合にも右の原則があてはまるのである。」と判示した(いずれも下線部は引用者による。)。

 かように、白鳥決定・財田川決定は、再審請求においても「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されるとしたのである。

2 東北地方における再審事件

(1)弘前事件

 青森県で発生した弘前事件について、1976(昭和51)年7月13日、仙台高等裁判所は再審の開始を決定した。

 被告人とされた那須隆氏は、第1審で無罪判決を得たものの、控訴審で逆転有罪判決を受け、さらに上告棄却され、その後13年服役したのち、再審請求をなし、1977(昭和52)年に無罪判決が言い渡され確定し、雪冤を果たした。同事件は、白鳥決定後にはじめて最高裁で確定した判決について再審開始が認められた事例である。

(2)米谷事件

 また、同じく青森県で発生した米谷事件についても、1976(昭和51)年10月30日、仙台高等裁判所は再審の開始を決定した。

 被告人とされた米谷四郎氏は、青森地方裁判所における第1審で有罪判決を受け、その後10年服役したのち、再審請求をなし、1978(昭和53)年に無罪判決が言い渡され、雪冤を果たした。

(3)松山事件

 そして、東北地方においては、いわゆる死刑4再審事件の1つである、宮城県で発生した松山事件について、被告人とされた斎藤幸夫氏の雪冤が果たされたことが特記されるべきである。

 この事件は、1983(昭和58)年、検察官の即時抗告に対し、仙台高等裁判所が再審開始の原決定を維持し、1984(昭和59)年に再審において無罪判決が言い渡されたが、斎藤氏は、1955(昭和30)年末に逮捕され、再審開始決定によって死刑の執行が停止されるまで死の恐怖にさらされ続け、再審無罪判決まで身体拘束され、自由の身となったのは逮捕されてから29年が経過した後であった。

(4)このように、東北地方においても、えん罪により重大な人権侵害を被り、再審において雪冤を果たした人々が複数いることから、我々東北の弁護士も、改めて日本全国のえん罪被害者の救済のために、再審制度が十分に機能しなければならないとの思いを強くするものである。

3 近時の再審開始決定

 近時、多くの再審開始決定がなされ、多くの被告人が雪冤を果たしている。

 足利事件、布川事件、東京電力女性社員殺害事件、東住吉事件、松橋事件、湖東事件について再審開始決定がなされ、再審において無罪判決が言い渡され、確定している。

 また、日野町事件については、大阪高等裁判所が再審開始を認めたものの、検察官が特別抗告しており未確定の状態にある。

 冒頭に述べたように、袴田事件については、再審開始が確定し再審公判が開始されている。同事件の差戻し後の高裁決定では、再審請求手続の中で開示され提出された新証拠と、確定審で取り調べられた旧証拠とを総合評価し、白鳥決定及び財田川決定に沿う適切な判断手法をとったものであった。


第3 再審制度の問題点とその改正の必要性

1 明らかになった再審制度の問題点

 しかし、袴田事件や日野町事件の再審請求審における審理を巡って、本来無辜の救済を目的とするはずの現行刑事訴訟法における再審に関する規定(再審法)の問題点が、改めて明らかになった。

 すなわち、いずれの事件においても、即時抗告棄却決定まで長期間が要されており、また適正な証拠開示がなされず、検察官による不服申立がされているという点である。

2 審理の長期化

 袴田事件の被告人とされた袴田巌氏は、2014(平成26)年3月27日静岡地方裁判所が再審開始とともに死刑及び拘置の執行停止を決定したことにより釈放されたものの、1980(昭和55)年11月19日に上告審で上告が棄却されて以来、40年以上にわたり死刑囚として生きることを強いられてきた。その苦痛は計り知れない。

 このことについて、再審請求審の審理のあり方に関する規定がなく、各裁判所の裁量に委ねられていることが原因の一つといわなくてはならない。

 すなわち、現行刑事訴訟法上、再審手続に関する規定は19箇条しか存在せず、再審手続の運用は個々の裁判体の裁量に大きく左右される。そのため、手続の運用が統一的になされておらず、再審請求人にとって「適正手続の保障」(憲法31条)がされているとは言えない状況にある。

 ことに、現状においては、再審公判の前段階である再審請求審の手続が肥大化しており、再審請求審の手続に極めて長い年月を要している。このことは、再審請求人の「迅速な裁判を受ける権利」(憲法37条1項)をないがしろにしているものである。

 かように、現行再審法は、憲法の要請をないがしろにしているともいうべきものなのである。

3 証拠開示規定の不存在

 現行再審法においては、証拠開示に関する規定が存在しない。

 松山事件においては、仙台地方裁判所古川支部の再審請求棄却決定について、仙台高等裁判所が差戻し決定をなした後に、多くの裁判不提出記録の証拠開示がなされ、いわゆる「平塚鑑定書」の存在などが明らかになったことが再審開始決定に結びついたものである。

 袴田事件においても、第2次再審請求審において合計約600点もの裁判不提出記録が証拠開示され、その中に存在したボタンのタグの「B」という文字が、検察官が主張していた「サイズ」ではなく「色」を示す旨の製造業者の供述調書、いわゆる「5点の衣類」のネガフィルムなどが取り調べられた結果、再審開始が決定した。

 かように、両事件とも、再審請求手続の中で、検察官の手持ち証拠が多数開示され、その中に再審開始を導く重要な証拠が含まれていたのである。適切な証拠開示がなされていれば、より早期の再審開始決定がなされたものと考えられる。

 しかし、現在の刑事訴訟法では再審における証拠開示制度が整備されておらず、証拠開示が裁判所の裁量に委ねられているため、再審開始を導く重要な証拠が再審請求人に開示される保障はない。両事件において証拠開示が行われなければ、果たして再審開始決定がなされたのか疑問なしとしないが、これでは無辜の救済という再審制度の趣旨を実現できないこととなってしまう。

4 検察官による不服申立の許容

 現行再審法においては、検察官による不服申立が認められている。これがえん罪被害者の迅速な救済を阻害するという問題は、かねてより指摘されてきた。そして、近年は布川事件、松橋事件、大崎事件、湖東事件及び日野町事件において、再審開始を認める即時抗告審決定について、検察官が最高裁判所に特別抗告をしている。その結果、特別抗告審の判断がなされるまで再審開始決定がなされないという事態が起き、迅速な救済が阻害されている(なお、大崎事件については特別抗告審において再審請求を棄却するという決定がされている)。

 袴田事件においても、2014(平成26)年3月27日の静岡地方裁判所の再審開始決定について検察官が特別抗告しており、この抗告がなければ再審開始決定の確定が2023(令和5)年3月13日までずれ込むことはなかったのである。

 憲法39条は「何人も・・・既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」と「二重の危険」禁止原則を定める。最高裁判所は、「二重の危険」とは、同一の事件については訴訟手続の開始から終末に至るまでの一連の継続状態をいうものであるとし、検察官上訴制度が同条に違反するものではないとする(最高裁大法廷1950(昭和25)年9月27日判決・刑集4巻9号1805頁)。

 しかし、現行刑事訴訟法は、再審制度を無辜の救済制度に純化させ、不利益再審を認めていない。かつ、「疑わしいときは被告人の利益に」の原則からは、いったん裁判所による無実を示す判断がなされた以上は、当該事件はすでに「疑わしい」ものとされたものというべきである。職権主義的審理構造のもと、再審手続において検察官は「公益の代表者」として裁判所が行う審理に協力する立場に過ぎないことに鑑みれば、検察官に、再審開始決定に対する不服申立権を認める必要はないというべきであって、法改正により直ちに禁止されるべきである。検察官が有罪であると主張するならば、それは再審公判で有罪立証を尽くせば済むことなのである。現に、再審公判が結審した袴田事件について、検察官は有罪立証を尽くし、死刑を求刑したところである。

5 審理手続に関する規定の整備等の必要性

 以上述べたように、現行の再審手続にはその条文の少なさもあって、十分な手続的保障が定められているとは言えない。ゆえに、裁判所の裁量に委ねられる点が多く、審理が長期化することに加え、三者協議や事実取調べを全く行わないなど、十分な手続的保障がされているとは言えない事例も散見される。

 また、大崎事件や日野町事件、飯塚事件等においては、通常審に関与した裁判官や過去の再審請求審に関与した裁判官が、当該事件の新たな再審請求審に関与していたことも明らかになっている。これは、裁判所の判断の公正さ・適正さを疑わしめるものである。

 加えて、再審手続においては国選弁護制度がなく、資力がなく支援も得られないものは

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  最高裁判所大法廷(戸倉三郎裁判長)は、2024(令和6)年7月3日、旧優生保護法国家賠償請求訴訟において、旧優生保護法が憲法13条及び14条1項に違反することを認めた上で、国が除斥期間の主張をすることは、信義則に反し、権利の濫用として許されないとして、被害者に対する損害賠償を命じる判決を言い渡した(なお、唯一、除斥期間の適用が認められていた2023(令和5)年6月1日の仙台高等裁判所の判決については破棄した上で差し戻した。)。

 本件は、15歳のときに優生手術を強制された宮城県在住の60代の女性が全国で初めて国家賠償法に基づく損害賠償請求訴訟を仙台地方裁判所に提起し、その後の同種事件の先駆けとなった事件を含む全国5つの同種事件の上告審判決である。

 1948(昭和23)年6月に制定された旧優生保護法は、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」こと等を目的として、特定の障害ないし疾患を有するとされた者を一律に「不良」と断定し、1996(平成8)年に母体保護法に改正されるまでの約48年間、不妊手術約2万5000件、人工妊娠中絶約5万9000件、合計約8万4000件に及ぶ優生手術を強制した。

 これまでも、2022(令和4)年2月22日に大阪高等裁判所が、同年3月11日に東京高等裁判所が、いずれも国に損害賠償を命ずる判決を言い渡し、その後も、2023(令和5)年3月16日の札幌高等裁判所、同月23日の大阪高等裁判所、同年10月25日の仙台高等裁判所、2024(令和6)年1月26日の大阪高等裁判所判決等、国に損害賠償を命じる判決が相次いで出されていた。

 本判決は、最高裁判所として、旧優生保護法が憲法13条及び14条1項に違反すると明確に判断した。その上で、旧優生保護法の立法行為にかかる国の責任が極めて重大であること、被害者に国に対する損害賠償請求権の行使を期待することが極めて困難であったこと、適切な補償の措置が講じられてこなかったこと等に照らし、除斥期間の主張の要否に関する最高裁判例を変更した上で、国が除斥期間の主張をすることが信義則に反し、権利の濫用として許されないとした。これは、旧優生保護法による被害について除斥期間の適用を制限することについて統一的判断を示したものである。優生手術が極めて非人道的かつ差別的であり重大な人権侵害行為であることを直視し、除斥期間の適用を否定して国の賠償責任を認めたことは、人権保障の砦としての司法の役割を果たすものであり高く評価される。

 もっとも、本件の背景にある旧優生保護法に基づく優生手術は、約8万4000件に及ぶにもかかわらず、全国において国家賠償訴訟の提起に至った被害者はわずか39名に過ぎない。旧優生保護法一時金支給法に基づく一時金の支給認定の状況についても令和6年5月末時点で1100件が認定されたにとどまり、大多数の被害者は様々な理由により未だ声を上げられない状態が続いている。そして、被害者の多くは高齢となっており、既に亡くなられた方も少なくない。

 このため、訴訟提起に至った被害者のみならず優生手術のすべての被害者に対し、一日も早く本判決の趣旨を踏まえた全面的な謝罪と速やかな被害回復が図られることが必須である。

 よって、当連合会は、国に対し、本判決を受けて、すべての被害者に対する謝罪と速やかな被害の全面的回復を行うことを強く求めるものである。

2024(令和6)年7月4日 

東 北 弁 護 士 会 連 合 会                    

会 長 竹 本 真 紀


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2014-07-04決議・声明|東北弁護士会連合会
特定秘密の保護に関する法律の廃止を強く求める決議
2014-07-03決議・声明|東北弁護士会連合会
「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの 業務の特例に関する法律」の有効期限の延長を求める要望書
2014-06-07決議・声明|東北弁護士会連合会
法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会「事務当局試案」に関する会長声明
2014-05-10決議・声明|東北弁護士会連合会
「通信傍受の合理化・効率化」に反対する会長声明
2014-03-22決議・声明|東北弁護士会連合会
復興事業用地の確保にかかる特例法の制定を求める要望書
2013-11-25決議・声明|東北弁護士会連合会
特定秘密保護法案の廃案を求める会長声明
2013-07-05決議・声明|東北弁護士会連合会
東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償請求権の 消滅時効に関し特別の立法措置を求める決議
2013-07-05決議・声明|東北弁護士会連合会
被災地の復興を促進するため、新たな法制度及び制度の改正・改善を求める決議
2013-06-08決議・声明|東北弁護士会連合会
被災ローン減免制度の不当な運用の改善を求める会長声明
2013-03-30決議・声明|東北弁護士会連合会
秘密保全法制の制定に反対する会長声明
2013-03-30決議・声明|東北弁護士会連合会
普天間飛行場へのオスプレイの配備撤回及び国内におけるオスプレイの 飛行の全面中止を求める会長声明
2013-02-08決議・声明|東北弁護士会連合会
東京電力株式会社の福島第一原子力発電所事故による 損害賠償の消滅時効の取扱についての会長声明
2012-07-06決議・声明|東北弁護士会連合会
個人保証の原則的な廃止等を求める決議
2012-07-06決議・声明|東北弁護士会連合会
すべての裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議
2012-07-06決議・声明|東北弁護士会連合会
原子力発電と核燃料サイクルの廃止を求める決議
2012-06-27決議・声明|東北弁護士会連合会
大飯原子力発電所再稼働決定の撤回等を求める会長声明
2012-02-03決議・声明|東北弁護士会連合会
東日本大震災の被災者への「法的支援事業」特別措置法 の制定を求める会長声明
2011-12-03決議・声明|東北弁護士会連合会
各種人権条約に基づく個人通報制度の早期導入等を求める決議
2011-10-01決議・声明|東北弁護士会連合会
原子力損害賠償紛争解決センター和解仲介手続を 各地で実施するよう求める会長声明
2011-07-08決議・声明|東北弁護士会連合会
福島第一原子力発電所事故を早急に収束させ、住民の安全を確保し、汚染地域の原状回復等を求める決議
2011-07-08決議・声明|東北弁護士会連合会
東日本大震災の被災者救済と被災地の復旧・復興を求める決議
2011-07-08決議・声明|東北弁護士会連合会
日本国籍を有しない者の調停委員任命を求める決議
2011-07-08決議・声明|東北弁護士会連合会
暴力による弁護士活動への妨害行為に対し断固として立ち向かうことを誓うとともに、秋田における弁護士刺殺事件での警察の対応について徹底した調査・検証を求める決議
2011-06-04決議・声明|東北弁護士会連合会
被災者の信用情報の取扱について|2011(平成23)年6月4日東北弁護士会連合会
2011-05-21決議・声明|東北弁護士会連合会
権利保全特別措置法第6条の適用に関する意見書|2011(平成23)年5月21日東北弁護士会連合会
2011-05-21決議・声明|東北弁護士会連合会
東日本大震災への罹災都市借地借家臨時処理法の適用に関する意見書|2011(平成23)年5月21日東北弁護士会連合会
2010-11-04決議・声明|東北弁護士会連合会
秋田弁護士会所属弁護士の殺害事件に関する会長声明
2010-07-02決議・声明|東北弁護士会連合会
司法修習生に給与を支給する制度の継続を求める決議
2010-07-02決議・声明|東北弁護士会連合会
えん罪防止のために取調べの全面可視化と全ての証拠開示を求める決議
2010-07-01決議・声明|東北弁護士会連合会
国選付添人対象事件の拡大を求める会長声明
2009-07-03決議・声明|東北弁護士会連合会
地方消費者行政の充実を求める決議
2009-07-03決議・声明|東北弁護士会連合会
緊急貧困対策、労働法制の抜本的改正及びセーフティネットの再構築を求める決議
2009-04-04決議・声明|東北弁護士会連合会
取調べの可視化(取調べの全過程の録画)を求める会長声明
2009-02-13決議・声明|東北弁護士会連合会
裁判員制度の実施にあたって留意すべき問題点に関する意見書|2009(平成21)年2月13日東北弁護士会連合会