本年6月3日から5日にかけて、大阪弁護士会所属の弁護士の事務所のホームページに、「男のクセに女のフリをしているオカマ野郎」「メッタ刺しにして殺害する」などと書いた殺害予告のメッセージが匿名の者から断続的に送られてくるという事件が発生した。

 同弁護士は、LGBTなど性的マイノリティの問題に取り組み、自身もトランスジェンダーと公表しているところ、上記メッセージは、同弁護士の属性に対する差別意識や憎悪感情を示し、さらにその活動を妨害するものである。

 当連合会及び東北各弁護士会では、これまでも、性的マイノリティへの理解と支援を求める活動を行い、2021年12月には、当連合会において、性的指向、性自認にかかわらず、すべての人が尊重される社会を目指し、同性婚を認めることなどを求める決議をあげてきた。

 同弁護士へのメッセージは、弁護士の業務を妨害する行為として見過ごすことができないのは勿論のこと、社会における全てのトランスジェンダー当事者の人々の存在そのものを否定するヘイトクライム(憎悪犯罪)にほかならず、当連合会として、断じて許すことはできない。そして、このような性的マイノリティへの差別意識と憎悪感情に基づく言動が広がれば、さまざまな属性を持つ人々に対する敵視、偏見並びに憎悪が増長され、社会の分断を招き、何人も個人の尊厳が尊重される社会を実現するという憲法の理念を阻むもので決して見過ごすことはできない。

 当連合会は、このような妨害と差別的言動が繰り返されないことを求め、トランスジェンダー当事者を含む全ての性的マイノリティの人々が個人の尊厳を持って差別されず生きることができる社会を実現すべく、活動を尽くすことを決意し、ここに表明するものである。


                 2023年(令和5年)6月10日

                    東北弁護士会連合会   

                     会 長  虻 川 高 範