大沢一實

平成30年度の東北弁護士会連合会会長を務めることとなりましたので、就任のご挨拶を申しあげます。

 東北弁護士会連合会(略称「東北弁連」)は、東北六県の弁護士会で構成される団体です。六弁護士会に所属する弁護士の総数は、平成30年3月31日現在で1,050名(内女性143名)です。内訳は、青森県弁護士会113名(内女性16名)、秋田弁護士会78名(同12名)、岩手弁護士会104名(同10名)、仙台弁護士会454名(同69名)、山形県弁護士会98名(同11名)、福島県弁護士会203名(同25名)となっています。

 東北弁連は、弁護士法に基づいて設立されました。同様の弁護士会連合会は他に7つあります。組織や活動も概ね同じで、独自の活動のほか、日弁連と各弁護士会との間に立ち、日弁連役員や委員の推薦を行ったり、日弁連から各弁護士会への諮問、両者間の協議の仲介等重要な役割を担っています。年1回定期大会を開催して宣言や決議を行い、あわせてシンポジウム等を催しています。

 東北弁連の意思決定機関は、各弁護士会で選任された計30名の理事によって構成される理事会です。年8回開催され、予算、決算等の基本的で重要な事項について審議を行います。また東北弁連には、合わせて25の委員会、協議会があり、担当する分野について調査、研究等を行っています。

 東北弁連の源流を辿ると、明治21年の宮城控訴院管内代言人懇親会が始まりのようです。その後、同39年からの東北弁護士大会、昭和12年に結成された東北弁連を経て、現在の組織の基礎が整ったのは昭和40年のことです。

 東北弁連は、かつては、親睦を中心とした集まりだったといわれています。しかし、明治39年の大会では、弁護士自治や弁護士任官に関する議案が提出されました。先見性に富む提案がなされたことに驚きをおぼえます。その気概が、今日まで生き続けてきたように思えます。

 東北弁連では、今年度もまた困難な諸課題に取り組まなければなりません。主なものとしては、東日本大震災・福島第一原発事故の問題があります。発生から7年を経過しても、復興を遂げるためにはなお長い時間が必要です。被災者の方方は、今でも苦難を乗り越えるため懸命に努力しています。私たちは、そのことを忘れず、被災地の弁護士会を通じて支援を続けなければなりません。

 東北は、長年弁護士過疎の問題に悩まされてきました。弁護士人口は増えたものの、未だ十分に解消されたとはいえません。やまびこ基金設置規則が定める対策地区も5か所残っています。現在も十数か所の公設事務所が稼働しています。最近、大都市部の就職環境が改善されつつあるとの話も聞きます。大都市が弁護士を吸収し始めたとすれば、過疎・偏在の新たな進行が懸念されます。

 他方、弁護士ばかりが配置されても、裁判官、検事が常駐しない支部の住民は十分な法的サービスを受けられません。いわゆる支部問題ですが、弁護士過疎・偏在の問題と密接な関係にあるものとして取り組む必要があります。

 今年度の東北弁連の定期大会は、八戸市で開催されます。成年後見制度利用促進をテーマとするシンポジウムも催されます。青森県弁護士会は、県全域を対象とした成年後見制度利用に関する実態調査を行いました。シンポジウムでは、その報告を行うとともに、調査結果から浮かびあがってきた課題について議論します。今年の1月29日、内閣府参事官の須田俊孝氏をお招きし、八戸市で学習会を開催しました。テーマは、「成年後見制度利用促進基本計画の趣旨を踏まえた中核機関・地域連携ネットワークのあり方」です。一般の方を含め約130人が参加し、関心の高さを窺わせました。

 10月には、日弁連最大の行事、人権擁護大会が、青森市で開催されます。現在、青森県弁護士会が、緊張感をもって準備を進めているところです。この大会は、東北弁連が迎える行事でもありますので、できる限り青森県弁護士会を支援したいと考えています。各会でも、大会のテーマに関連したプレシンポジウムや講演会等を開催し盛りたててくだされば、幸いです。何より、一人でも多くの方の参加を願っています。

 「東北は一つ」これは先輩会員から受け継いできた言葉です。今後もその意味を噛みしめ、東北六県の弁護士会の融和と結束をはかりながら、活動を進めて参りたいと考えております。各会の皆様のご協力を賜りますよう、お願いいたします。