石橋乙秀会長

 2019年度(平成31年度)の東北弁護士会連合会会長を務めることになりましたので、就任のご挨拶を申し上げます。
 東北弁護士会連合会(「東北弁連」と言います。)は、東北六県の弁護士会で構成された団体です。六弁護士会に所属する弁護士の総数は、2019年(平成31年3月31日)現在で、1051名(内女性149名)です。内訳は、青森県弁護士会114名(内女性16名)、秋田弁護士会77名(同13名)、岩手弁護士会103名(同11名)、仙台弁護士会457名(同71名)、山形県弁護士会99名(同13名)、福島県弁護士会201名(同25名)となっています。

 東北弁連は、弁護士法に基づいて設立され、同様の弁護士会連合会は我国には他に7会あります。組織や活動は概ね同じで、独自の活動のほか、日弁連と各弁護士会との間に立ち、日弁連役員や委員の推薦を行ったり、日弁連から各弁護士会への諮問、両者間の協議の仲介等重要な役割を担っています。また、年1回定期大会を開催して、宣言や決議を行い、あわせてシンポジウム等を催しています。

 東北弁連の源流を辿ると、明治21年の宮城控訴院管内代言人懇親会が始まりのようです。その後、同39年から東北弁護士大会、昭和12年に結成された東北弁連を経て、現在の組織の基礎が整ったのは同40年のことです。

 東北弁連は、かつては、親睦を中心とした集まりだったと言われていますが、明治39年の大会では、弁護士自治や弁護士任官に関する議案が提出され、先見性に富む提案がなされ、単なる親睦団体ではありませんでした。

 東北弁連では、今年度も困難な諸課題に取り組まなければならないと考えています。主なものとしては、東日本大震災・福島第一原発事故の問題です。発災から8年を経過し、ハード面はほぼ完成に近づいたかもしれませんが、人間の復興はまだまだです。原発事故に至っては復興まであと何年かかるかも全く不明な状態です。東北弁連としましては、災害ケースマネジメントに基づいて一人一人の被災者の方々の真の人間の復興を目指して支援していきたいと考えています。また、東北ではマグニチュード7級の地震が発生する確率が90%の地域もあり、将来の災害に備えた体制も早急に考えなければなりません。今年度の東北弁連の定期大会は、盛岡市で開催されますが、シンポジウムでは、災害におけるNPO法人等の団体との連携がテーマになります。災害は、さまざまな団体が連携して初めてケースマネージメントを基にした人間の復興を成し遂げることができるのです。極めて有益な議論がなされることと思います。

 東北は、長年弁護士過疎の問題を抱えてきました。現在弁護士人口は増え、十数カ所のひまわり基金公設事務所が稼働していますが、弁護士過疎が十分解消されたとは言えません。また、東北には司法過疎の問題があります。支部問題と呼ばれているものですが、支部の人的及び物的な整備がなされていない問題です。具体的には支部には裁判官が常駐していない支部が多くあり、検察官も常駐していない支部が多くあります。近年、家事事件が増加し、家庭裁判所調査官の需要が高まっているのですが、調査官の配置も全く不十分です。更に、親子の面会交流の場である児童室の設置がほとんどなされていません。弁護士過疎及び司法過疎が解消されなければ住民の法的ニーズに適切に対応することはできません。東北弁連としましては引き続き弁護士過疎及び司法過疎に取り組んでいかなければなりません。

 東北は、高齢化率が高く、高齢化率は益々上がるばかりで、高齢化社会に対して弁護士会も成年後見制度等の分野において適切に対応していかなければなりません。また、裁判員制度及び犯罪被害者参加制度が発足して10年を迎え、それらの制度の検証も必要です。更に、政府から裁判のIT化について迅速な対応を求められており、東北にとって極めて大きな影響があります。

 東北弁連としましては、「東北は一つ」という合言葉を踏まえ、東北六県の弁護士会の融和と結束をはかりながら困難な諸課題に取り組みたいと考えております。各会の皆様のご協力を賜りますよう、お願い致します。