1 2023年10月7日、ハマス等パレスチナ武装勢力によるイスラエルへの武力攻撃が行われ、それ以降、ガザ地区において深刻な戦闘状態が継続している。
ハマス等の攻撃によるイスラエル側の死者数は1200人を超えたとされ、約30人の子どもを含む240人を超えるイスラエル市民及び外国人が人質にされ、現在も多数が解放されていない。
他方、この間、イスラエルからの攻撃により、ガザ地区でのパレスチナ側の死者数は2万6400人を超え、負傷者数は6万5000人を超えたと報道されている(ガザ地区保健省2024年1月28日発表)。これらガザ地区における死傷者のうちの70%は女性及び子どもであるとみられ、1万人以上の子どもが死亡し、1000人以上の子どもが片足又は両足を失い、そのほとんどが麻酔なしで切断されたと報告されている(国際NGOセーブ・ザ・チルドレン2024年1月11日発表)。攻撃の対象は病院や学校にも及び、少なくとも250人を超える医療従事者が犠牲になったとされる。ガザ地区の住民は、水や電気の供給も遮断されて、避難移動することを余儀なくされ、さらに移動先の環境も劣悪で医療や生活に必要な物資も不足している。
2 ハマス等パレスチナ武装勢力が市民を巻き込んだ攻撃によりイスラエル側に多くの犠牲を出したこと及び一般市民の人質をいまだに解放しないことは、国際人道法に反する違法行為である。
他方、イスラエルがガザ地区に対し市民の住居や文民病院を含む無差別攻撃を継続し、これによって子どもや医療従事者を含む多数の一般市民の死傷者を出し、住民に強制移動を余儀なくさせていることは、看過できない国際人道法違反の行為である。
3 このようなイスラエル・ガザ地区での深刻な人道状況を受けて、2023年12月12日、国連総会臨時特別会合において、人道上の即時停戦、国際人道法を含む国際法上の義務(特に文民保護)の遵守、すべての人質の無条件即時解放、人道的アクセス確保を求める総会決議が採択された。また、同月23日に国連安全保障理事会(安保理)において、ガザ地区に対する人道支援の拡大と監視に関する安保理決議第2720号が採択された。
4 東北弁護士会連合会は、犠牲となったすべての方々に哀悼の意を表し、ガザ地区における即時停戦と平和的解決を心から願うとともに、国連はじめ平和的解決に向けて尽力されている方々に連帯の意思を表明する。また、日本国憲法の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」との理念を実現すべき日本国政府に対し、ガザ地区における即時停戦、人質の解放、人道危機の解消を目指して外交努力を尽くすよう求める。
2024年(令和6年)2月2日
東北弁護士会連合会
会 長 虻 川 高 範
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