
近年,ガス湯沸し器による一酸化炭素中毒事故・トラックのタイヤ脱落事故・シュレッダーによる手指切断事故などの製品事故や,牛肉・鶏肉・鰻などの食品表示偽装事件,マルチ商法など巧妙化する悪質商法などの被害が相次いでいる。このような流れの中で,これまでの産業育成の行政から消費者・生活者のための行政に大きく転換をはかるべく,消費者庁関連3法が国会で可決され成立した。
しかし,消費者行政を充実・強化し消費者主権を確立するためには,国の組織を整えるだけでは十分とは言えない。消費者行政は,地域住民が直接接する地方の相談窓口など地方消費者行政が充実してこそはじめて適正な運用がなされるのであり,地方が置き去りにされていては消費者主権の実現は不可能である。
ところが,地方消費者行政は,国からの財政的支援の縮小や地方自治体の財政削減などにより後退を続け,相談窓口の縮小廃止など,機能不全が目立っている。
国は,このような現状を改善すべく平成20年度第2次補正予算及び平成21年度補正予算において「地方消費者行政活性化基金」を設置するための財政措置を講じている。しかし,同基金は,設置が3年間に限定され将来も継続される見通しが立っていないことなど,重大な問題点が指摘されている。
また,各地方自治体においては,適切な助言やあっせん処理などが行えるだけの十分な人員確保,職員の専門性の向上などが課題となるが,規模や財政事情によっては,十分な取り組みができない地方自治体が存する可能性は否定できない。
このような問題点をふまえて,当連合会は,地方消費者行政の充実・強化をはかり,消費者主権を確立するために,国及び地方自治体に対し,以下のような取り組みを求める。
1 国に対する要求事項
地方消費者行政に対し,上記基金の設置期間後も,継続的に幅広い用途に使用できるような財政支援を行うための制度を,早急に検討・実施すること。
2 都道府県及び市町村に対する要求事項
(1)相談員の増員,地位の安定,職員・相談員の研修制度の充実,情報共有システムの拡充などの,地方消費者行政拡充のための制度的基盤を整備・拡充すること。
(2)各地の実情に応じ,周辺市町村が連携し,広域消費生活センターの設置などによる,広域的な消費者行政の実施に向けた取り組みを検討・推進すること。
以上のとおり決議する。
2009年(平成21年)7月3日
東北弁護士会連合会
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