今月19日,参議院本会議において,いわゆる「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」(以下,これらを総称して「本法案」という。)の採決が強行された。
本法案は,憲法前文や憲法第9条に示された徹底した恒久平和主義に反し,平和国家としての我が国の在り方を根底から覆すものである。また,本法案はこれらの憲法の条項を法律で改変し,憲法改正手続(憲法第96条)を踏むことなく憲法の実質的改正をしようとする点で,立憲主義及び国民主権(憲法前文,第1条)の基本原理にも反する。このことについては,当連合会が本年7月3日に採択した「憲法違反である『平和安全法制整備法案』及び『国際平和支援法案』 の国会提出に抗議し,その廃案を求める決議」でも指摘したところである。
本法案は本年5月26日に衆議院で審議入りしたが,この間,衆議院憲法審査会に参考人として出席した3名の憲法学者全員が,自民党推薦の参考人も含め,集団的自衛権行使を可能にすることは憲法違反であると言明し,また,衆参両議院の特別委員会の参考人質疑でも,元内閣法制局長官が,集団的自衛権の行使容認は憲法違反であると述べるなど,本法案の違憲性は審議が進むにつれて解消されるどころか,むしろより一層明らかとなっていた。加えて,元最高裁判所長官を含む最高裁判事経験者や圧倒的多数の憲法学者らも,本法案は憲法に違反するとして反対の意見を相次いで表明しており,このような状況の下,各種世論調査においても,本法案に関する政府の説明は不十分であるとの声が8割に達し,今国会での成立に反対との声は6割を占める状態が続いていた。
にもかかわらず,主権者たる国民の声を無視し,憲法違反の本法案の採決を強行したことは,立憲主義,民主主義に反する暴挙と言わざるを得ない。
当連合会は,かかる採決の強行に強く抗議するとともに,今後もなお引き続き,法律の成立によって改正された関連各法の条項及び国際平和支援法について,その違憲性と問題性を指摘し,その適用・運用に反対し,さらにはその廃止・改正に向けた取組を行う決意である。
2015年(平成27年)9月26日
東北弁護士会連合会
会長 宮本多可夫
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